メスカリ漬けの猫

2025.07.06-07.12


07.06(日)

LIFE史上、初の弾き語りでの、LIVE。

H町にある喫茶Mにてイカしたイベントのオープニングアクトとして30分のステージを任せてもらったので、実演。

会場の雰囲気や録画いただいた動画などを見るに、前座としての火付け・焚付けなど、やるべき仕事はきちんとやれたように思う。まあそれ以上に、個人として非常に楽しかったし、自信もついた。

語るべきことはたくさんあるのだが、やはり「一曲目から泣いてしまいました」という初見のお客様がいたことが、ハイライト。むしろこちらが泣いてしまいそうだった。空白期間はありつつ、わりと長いこと詩を作ったり歌ったりしてきた中で、「今夜はフロアを沸かせたぜ、あちき」という経験はあるけれど、泣いてもらったのは初めてだったから。涙がこぼれそうであった。

その後、この喫茶の土地主である御年94歳のレディとレゲエミュージックで手を取りながら踊り、

「あんた、わたしと踊ったからね、長生きするわよ」

と、耳元で囁かれる。

人というよりも、神木とか大きな樹木に近い匂いを感じた。

キープ・オン、ロックンロール。

07.07(月)

昨夜の夢見心地からいまだ少し、いやかなり抜けられず、ぼーっとしている。

久しぶりに温泉でも行くかと思いたち、箱根の山を登り(クルマが)、訪れたものの、8月から大幅な値上げというお知らせ。値上げ前に来られて(その報せを知れて)、良かったと思うべきだろうか。

今日は七夕であったのだが、保育園の頃と違い、とくに短冊など書かないので、そういった行事ごとに関心の薄いわたしたち両親も、娘を巻き込んで「短冊を書こう!」というムーブメントを行わなかった。というか夕方になってから、七夕に気付いてしまった。天野川男が泣いている。と思っていたら、熱心に何かやっている女児。突然わたしの部屋に乱入してきて

「パパー!どう?良いでしょ?」

と、右の太ももに広範囲に描かれた見事な「スジ彫り」を見せてきた。

右太ももだけでなく、両手の甲にもハートマークなどをカラーボールペンでお絵描きしており、そこには、いっぱしのTATOO・GALが、仕上がっていた。

タトゥーについてわかりやすく教えると、

「うちは、注射でも痛い時と痛くない時のある人だから、ぜったい無理だわん」

とのこと。

その昔、駄菓子屋で買ったタトゥーシールを手の甲につけ(奇しくも彼女と同じハートマーク)、嬉々として母親に見せたところ、激昂され、家族会議レベルの大問題となり、夕飯を食べられなかった幼い日の思い出が蘇る。

今夜、娘はすき焼きの肉を美味しそうに食べていた。

07.08(火)

保護者面談。

むかしは家庭訪問といって、担任が各家庭に回ってきたのだが、そういう風習はもはやこの国にはないらしい。わたしたちが学校に出向いて、担任教諭から娘の日頃について伺う15分間。

家庭訪問の日はそれはそれで、母が朝から忙しそうにめかしこみ、掃除をして、いつもとは違う茶碗で麦茶や茶菓子を出す風景が蘇る、おぼろげな記憶と戯れながら、激しく暑い風を真正面から受けて、ぼくたち、わたしたちは小学校へ向かった。

両親揃って行くので、まだひとりで留守番ができない娘を連れていく。娘の話をするのに、傍らにご本人がいてはなかなか話しにくいので、廊下で遊んでいてもらう。

「まあ総じて、心配ないですね」

といった内容のことを言われたけれど、夏休み期間中は学校の宿題だけではぶっちゃけ到底足りないので、正直副教材(くもんや進研ゼミ)を利活用して、ご家庭での教育もきちんとやってほしいとのこと。

わたしが小学生の時分は、学校の教師というのは、むしろそういった学校外の学習を目の敵にしているところがあり、個人的にはけっこう嫌な思いをしたこともあるのだけれど、時代は変わった。

ひらがなをお手本通りに綺麗になぞるということが、もう少しできるといい、という内容のフィードバックを受けて、親としては「そんなにズレてるかな?」と思うくらいだったのだが、帰宅後、本日の宿題をいつもより時間をかけて取り組む娘。

「せ」という文字を繰り返し、手本の枠内に、恐ろしく丁寧に筆記されている。

今日の話はぜんぶ、廊下で聞いていたのだろう。

07.09(水)

夜。

箱根湯本から芸者さんに来店してもらって、お座敷遊びをする試み第一弾。

初回は女性限定ナイトということで、女の園でのパーティーにお邪魔した感じだった。QAトークショーみたいなのも交えつつ、座敷遊び、舞い、などを堪能。参加者もみんな満足してくれたようで、企画した甲斐があった。姐さんがたを筆頭に、みんなよく飲んでいた。

生芸者のパフォーマンスは迫力があって、やはりこういうのは空気感も含めて、ライブで身銭を切って味わうことが一番良い。ナマで踊ろうというのは真理だなと思う。

07.10(木)

午後。

店の掃除などをしていたら妻から連絡があり

「ベランダに締め出された」

という内容。

娘から、「ちょっとママ、宿題に集中したいから外に出てて」と言われてベランダに出たところ、鍵を閉められた、とのこと。外は35度に迫る気温とスチーム・サウナのような湿度。

本当にいたたまれない児童虐待のニュースで、よく耳にする構図が、わたしのいない間に、我が家で再現されてしまっている。由々しきことだと思う。

30分後。このクーデーターによる戒厳令は無事に解除されたらしく、おそらくかなり叱られたのであろう、町内に響き渡る大声で泣き喚きながら、主犯がわたしの店まで連れてこられた。そのまま妻は仕事へ。

被疑者に事情を聞くと

「ぁsdふぁsdふぁs、間違って閉めちゃったの、そしたらママが怒っちゃってぇ、、ぁszsdふぁsdふぁsdf」

などと供述しており、故意か過失かについて、引き続き捜査を継続、再犯の防止に努めていきたい。

07.11(金)

夜。

無駄ちゃん営業日。

オープンからカウンターが埋まっていったが、いつものようなピークタイムがなく、スローで終わっていった。しっとりとした夜であった。

連日の猛暑が一服し、夕方から夜にかけては涼しい風が吹いていたので、これは今日は人が出るかも知れぬ、と思っていたが、まったくであった。町自体にも人通りがまばら。酒場稼業は本当に予測がつかぬ。再現性がない。

ただ、いつもより混雑しなかったこともあり、新規さんも含めて、ひとりひとりとゆっくり喋れたのは良かった。前半、女子の恋愛トーク。終盤、シモの話という、ジャパニーズ・トラディショナル・スナックらしい内容であった。

07.12(土)

町内の店舗が一斉にカレーを出すという、カレーフェスの日。

無駄はカレーと関わりもないので正式に参加はしなかったけれど、まあカレーばかり食べていても疲れるでしょう、ということで、20時くらいから臨時営業。休憩所として使ってもらえれば(開けていれば誰かしら入ってくるのでは?)と、思って開宴。

結果、なかなかの盛り上がりをみせたので、開けてよかった。

個人的にもカレーを2軒連続食べて、胃袋ターメリック。苦しい。

町を徘徊する猛者は、二時間で6軒食べたとか、昼から回って10店舗制覇したとか、そういう臓物がギフテッドな人たちもいた。ガラムマサラの刑。

あんなに満腹だったのに、営業後にまさかのちょっとした空腹感を感じ、フェス用カレーメニューがあと少し余っていた店で、カレーソースのピザを食べる。くみんくみん。

BRAKE ON THROUGH TO THE OTHERSIDE.

Read more

眠らない教皇

2025.12.7-12.13 12.7(日) 宮小路バル、無駄歌謡祭、と大きめのイベントをすべて終えて、さぞや疲労コンバインだと思っていたのに、わりと心身が元気。家族でA珈琲店にてブランチをとり、さあ、今日はどうしましょうね。ということに。 このHP/MPならいけるのでは?ということで、シセロシスコの個展最終日に赴くため、東京、小伝馬町へ。 途中、1年分の生活費によって溜まったクレジットカードポイントを消費するため、日本橋の三越という、百貨店中の百貨店。もはや絶滅危惧種と言っても過言ではない、百貨店という建物で、娘と迷子ごっこを楽しみながら、食品売り場がある地下で、高い肉などを郵送してもらう段取り。肉屋では明らかな東京の中央区のマダムが「ぁたくし」という一人称を使って、わたしたちよりも高価な、はるかに高価な、サシの入った肉を注文している。すげえ量。 個展に手土産でも、ということで、お菓子売り場をウロウロしていると、かわいいマカロンが売られていて、色とりどり。娘とこれはいいね、なんて言って、手土産用に買おうと思ったら、14個入り7000円。嘘だろ。向かいには十勝おはぎのサザ

虹が溶けていく

2025.11.30-12.6 11.30(日) 妻が昼から推しのヴィジュアル系バンドKのライブに行くので、午後から娘とダラダラ過ごす。2日間の「宮小路バル」をやりきって、無事に大盛況で終わって、その安堵感もあるのだが、疲れてはいるけれど、ずっと眠るというわけでもなく、というのも、明日は無駄で落語会、週末は年に一度の「無駄歌謡祭」と、あと残り2イベントを残しており、休むに休めないというか、なんか、そういうので、ダラダラしつつ、娘とドラえもんのカードゲームなどをやる。日本語がある程度読めるようになっており、ルールブックを読み、初体験のわたしに対してレクチャーをしながら、ゲームを進める。負ける。 よる。静岡方面から、バチバチにアーティスティックなお二方をお迎えして、シセロシスコとわたしと娘と一緒にTで会食。途中からライブ帰りの妻も合流して、鴨肉を食べる。 12.1(月) ひる。ステージ上に高座を作り、落語会の準備。 よる。今年二回目の落語会は、前回同様、超少数で贅沢な距離感でライブの落語が聞けるスタイル。十二月の初っ端から、

地雷原のモグラ

2025.11.23-11.29 11.23(日) 昨日から北海道北見市に家族で滞在。2日目。 昼。念願だった「回転寿司のトリトン 本店」へ行き、6歳女児も積極参戦して3人で32皿くらいを食べる。 散々っぱら、魚を食べた後、友人の車で40分かけて「山の上の水族館」という、全国に1つしかない淡水魚オンリーの水族館へ。わたしが小さい頃から、この、道の駅的な場所はあったけれど、水族館はなかったので、娘を散策させ、楽しんでいた。幻の魚「イトウ」や「ティラピア」の巨大さ。大きい魚は原始を感じさせる。 当時、水族館は存在しなかったけれど、ここは、小さい頃に両親によく連れてきてもらった場所で、妹も一緒に遊んだ記憶が蘇る。ノスタルジア。象徴的な建物をバックに娘の写真を撮り、当時の記憶を共有する唯一の存在である妹に、思わず送る。人生は、同じことのようで違うことの繰り返し。違うことのようで同じことの繰り返し。 11.24(月) 朝早くの飛行機に乗り、

薬漬けのトンビ

2025.11.9-11.15 11.9(日) 妻。夏前から推していた若手俳優のサイン会?手渡し会?に行く。 午前中にTOKYOへ出立して、昼前後にイベントを終え、その後、横浜でバンギャ仲間と飯を食い、夜は宮小路へ帰ってきて、こちらにいるバンギャ仲間と飲むという、1日3アポのスケジュール。遊び散らかして、満足気に帰ってきた。 わたしと娘は、つかず離れずというか、なんかそれぞれの部屋で、絵とか描いたりしながら、Uにて晩ごはんを食べたりして、仲良く暮らす。 11.10(月) 遊び疲れて、くたばる妻。 昨日ようやく会えた、夏から思い続けていた念願の男は、非常に美しかったが、毒気がなく、物足りなかったとのこと。「やはり私は遺伝子レベルでバンギャ。」との弁を述べながら、疲れ果てている。 先週購入したシセロシスコの絵が届いたので、作者と一緒に額縁屋で額縁を選び、作者自らの手によって、わたしのお店に飾ってもらう。ゴールデンなマリアージュ。無駄無駄しさが増しました。 11.11(火) 昨日に引き続き、シセロシスコとコーヒーを飲みに行く。