戦場はピーナッツで埋められた
2025.10.26-11.1
10.26(日)
16時までダラダラと過ごす。というか、さすがに前日までで疲れすぎた。バタンキュー。ヘアもセットせず、お忍びモードの格好で家のまわりをウロウロする。夕日が沈みかけている。
夜、お家でふたたびダラダラとしていると、娘が来週、学校で遠足的な行事があるらしく、その栞を見せてきた。
表紙に一発、「もくてき」という欄がある。遠足に目的もクソもあるかと、わたしなんかは思ってしまうのだが、彼女はそこに堂々としたひらがなで
「たのしみたい」
と書いてあった。
「たのしむ」でも「がんばる」でもなく、「たのしみたい」
こう、自分がそこにいるのだけれど、どこか一歩引いて、自分の行動それ自体を俯瞰しているような表現。「たのしむぞー!」じゃなく、「たのしみたい」。(できることなら…)みたいなニュアンスに、たまらずグッと来てしまった。親馬鹿ではあるのだけれど、この子のこういう所は、本当にわたしの子だろうかと思うレベルで、高貴な感じがする。とても風情があって良い。
10.27(月)
このまえの土曜日が参観日だったので、月曜日だけれど子が振替祝日。
昼は早川まで家族で歩き、新店舗T丸へ。アジフライ以外の魚のフライというものに、大して興味を持ってこなかった人生だけど、Tのフライは食欲を唆るレベルで美味しい。昼は魚だったので、夜はひさしぶりに駅前まで歩いて、Gにて焼肉。久しぶりにタレハツのカラシを食べて、満足。
10.28(火)
朝からなんとなくダウナーなきもち。すぐに天気とか気圧のせいにするの、あんまりイケてないと思うのだけれど、きっと、いや、必ず、気圧のせいだと思う。
午後、製作している詩集の打ち合わせを無駄で。担当編集者も「きのうからずっとダウナー」って言っていたので、間違いない。悪いのは世界。
ふたりともダルダルで始めたのだが、いま作っている本のことや、村上春樹マジ無理、みたいなことで話していると、徐々に火がついてきて、だんだんと盛り上がり、気づいたら90分くらい経過していた。身体というか脳が火照っている。
夜はそのままパトロールと称した町の徘徊。獣肉屋Rではじめて山羊の刺し身と山羊汁を食し、第三の目(サード・アイ)が開きそうになってしまった。身体の奥から燃え上がるコスモ。いったいなんなんだ、この素晴らしい食べ物は。
10.29(水)
眼がしゃきっと覚めてしまう。
昨日、なんだかんだで町のパトロールと称した夜遊びが興にノッてしまい(ぜんぶ山羊のせい)、割と遅くに帰ってきて寝たのにも関わらず。もうヤギが全身に回っていて、滋養がジヨウジヨウしているんだろうか。腕が四本生えているような阿修羅な気分。つまり元気。
午後はそのままのテンションを引きずって、ラヂオの収録。死ぬほど声が出ていた。
10.30(木)
昼。
隔週のパーソナルトレーニングの日。
いわゆるパンチ・キックから、総合格闘技的な動きなどいろんな動きをやるのだけれど、なんとなく前回から、護身術というか、制圧術・逮捕術みたいなのをやっている。酒場で暴漢やたちの悪い酔っ払いを制圧する技術を、小芝居を交えながら伝授してもらって、二人で笑いながらも、けっこう傍から見たら激し目の(暴漢の制圧だから)、演武をやっており、二階のスタジオでヨガの教室を終えて、1階に降りてこられたご婦人たちの、冷ややかな眼を受けながら、チャンプの膝で完全に抑え込まれ、身動き取れずに、地べたで死にかけている虫のように制圧されている、わたし。
10.31(金)
夜は無駄。そしてハロウィン。
町全体で、ハロウィンイベントやろうぜっていう流れになっていて、一ヶ月前くらいから各店舗で告知。宮小路という狭い町の中で、仮装した百鬼夜行が実現できたらおもしろ良いよね。っていう気分で、獣肉屋RのK女史が発案。結果的に20店舗も参加し、さて本番という日であった。
大雨。
18時から23時までというまるで、夜のピークタイムを狙い撃ちしたかのようなFxxxな天気予報で、さらにはまあ予報っていうか、現実にそうなってしまって、
「フジロックだって初回は土砂降りだったわけだから、これは伝説になるよね」
なんて、うそぶいていたけれど、実際、この雨の中、わざわざ仮装して飲みに来る人がそんなにいるのだろうか、と思っていた。
ところが。
蓋をあけてみると、実際にめちゃめちゃ雨が降る中で、みんな傘を差し、思い思いの化け物の格好や色っぽい格好をして、20店舗をそれぞれ練り歩いて、酒を呑んでいた。
わたしは、素直に素晴らしいと思った。
妻は手持ちの衣装(私服)を組み合わせて「ティファニーで朝食を」のオードリーヘップバーン。娘もティアラをつけて可愛らしいワンピースという出で立ち。ロイヤルファミリーみたいな母娘で町を巡っていた。
無駄も後半、妖怪どもでパンパンになり、みんなでスリラーをかけて盛り上がった。店を閉めたあと、まだ営業している各店舗を、行ける範囲で回ったが、深夜を過ぎてもみんな盛り上がっており、まことにグレートな夜であった。何より、発案者であるK女史がヘロヘロに喜んでいたのが、とても良かった。
また来年もやりましょう。
11.1(土)
わたしの帰宅が何時になろうと、娘は起きる。
家族の誰よりも早く、いのいちばんに起きて、速攻でipadを起動し、ドラえもんなどを閲覧している。続いて妻が起き、朝ごはんを巡ってなのか、なんなのか、自部屋の布団の中で朝ぼらけの夢うつつで聞こえているわたしには、まったく詳細が伺いしれないけれど、何らかのトラブルが生じていることは確かで、ママがブチ切れている。その向こう側で娘も負けじとキレている。詳細は伺いしれないけれど、とにかく小競り合いが生じていて、昔であれば、妻ことママがブチ切れたら、娘はギャン泣き、その後に謝罪が行われ、和解。という流れだったのが、ここ1〜2ヶ月くらいでは、そういうフローにならない。ママがブチ切れているということは、同時に娘もブチ切れている。ブチブチに。わたしは悪くないでしょ!というスタイルから、そこまでキレることある?!みたいな逆ギレのパターンまで様々な手段で、徹底抗戦の構え。しばらくキレあって、ふたりとも無言になり、数十分経つと、お互い普通に話しはじめるので、理解できないのだけれど、この戦に中途半端な気持ちで参戦すると、まったく火に油を注ぐというか、ぜんぜん受けなくてよい傷を負うことになるので、傍観しているのだ、わたしは。今日もどうやら、30分後くらいには普通にトークをしている声が聞こえてきた。
まったく、眠れないので、起きることにした。
BRAKE ON THROUGH TO THE OTHERSIDE.