熱帯夜とワインハウス

2025.06.29-07.05


06.29(日)

めちゃくちゃゴロゴロしているサンデー。

娘はタブレットで新しいアニメーションを発見したらしく、今日はパジャマ・デイにすると言い、ずっと寝巻のまま、アニメを見ている。わたしも彼女とほとんど変わらない感じで敷きっぱなしのお布団でゴロゴロしながら、阿佐田哲也の若かりし頃を描いた、むかしに流行った漫画を読んでいる。房州さんに痺れている。

時折、コミュニケーションを取ろうとリビングに行き、そんなに夢中になって、どんなアニメを観ているの。と、尋ねてみたけれど

「パパには見せません!音も聞いてはダメです!」

と言って、夜中にこっそりトゥナイト2を観ていて、親が突然部屋に入ってきたときのような反応で、タブレットを隠すものだから、実際、外は暑いし、娘もわたしも微妙に風邪っぽいし、何もすることがなく、自分の部屋で、雀鬼たちの手に汗握る駆け引きをずっと追いかけている。山本晋也カントク、元気かな。

妻は、この緩やかな軟禁的週末に耐えかねている。

06.30(月)

午後。

ずいぶんと先方の機嫌が良いので、ふたりでアイスを食べに行く、放課後。今日の関係性なら行けるのでは?と、妻は夕飯後、飲みに行き、娘とふたりで荒事無く、寝かしつけまでを終える。

眠るまで、布団でゴロゴロしながら、ママちゃん、ママちゃんと歌うので、いったいママのどこがそこまで好きなのですか。と尋ねると

「髪の匂い、手のモチモチ、尻の大きさ、目の形、声、筋肉、脚の長いところ、とかかなあ」

という、フェティシズムに傾倒した感じの回答。

確かに「どこが好きなのか」とは聞いたけれど、身体のパーツで答えてくるとは、思わなかった。

07.01(火)

激烈に暑い。

何もする気が起きず、家族全員で製氷機の中の氷を舐めるなどして過ごす。

07.02(水)

夜。

たこ焼きが食べたい、という娘の所望で、ひさしぶりにお家でたこ焼き。

定期的に「たこ焼きが食べたい」とか、冷蔵庫の上に置いてあるたこ焼きマシンを指差して、「さいきん、あれやってないよね。あれ」など遠回しに言ってきたりするので、たこ焼きを焼いて食べるのは好きらしい。

こんなに定期的にやるのであれば、もっとちゃんとしたマシンを買えば良かった。今のたこ焼きマシンは、娘と時間つぶしで寄ったディスカウントストアで興味本位で買ったやつなので、たこ焼きの粒直径が小さく、一口たこ焼きを何回も作らなくてはいけない。まあそれはそれで、楽しいのだが。

娘は所望のたこ焼き会ということで、始終機嫌が良く、というかむしろ、イケイケに調子にのっており、食事中、マヨネーズの、そのチューブの口を、あろうことか直接舐めるという調子に乗りすぎた暴挙に出て、ママにガン切れされ、Cry。

07.03(木)

夜。

お誘いを受けてトークイベントに登壇。
「本」「読書」に関するトークを、ということで、20名ちかくの参加者の前で、対談をしてきた。

対談相手は、6年ぶりに会う高校の同級生であり、お互い遠く北国の外れから出てきた身で、ひさしぶりの再会にテンションが上がり、参加者を置き去りにしての地元トークに燃えた。まれな偶然で、共通の友人が今回のイベントの主催であり、実現できた会で、ノスタルジーというよりはどちらかというと、それぞれの現在地の確認という側面が強く、とても良い夜だった。また会おう。

常日頃、思っていることを話してきたけれど、

  • 本は読まなくても良いので気に入ったら買う。電子書籍ではない紙で。
  • 本をぜんぶ読む必要はない
  • 気に入ったページとかフレーズとかあればそれで良い。なくても良い。
  • 読書とは、本を読むことではなく、気合の入った本棚を作って「蔵書」を育てる趣味である

などを、実践して、本と戯れる人が増えると、うれしい。

イベント終了後になって、市立図書館職員や町の老舗書店のオーナーなどが参加していたと知り、もう少し町に寄り添ったブックトークをすればよかったとも思ったが、まあ結果オーライ。

07.04(金)

「今日でプールの授業最後だとおもうよ」

という情報を、朝にママから共有されたわたしたちは、夏本番を前にあまりにも早いプール授業の終了に驚愕していたのだが、どうやらママの勘違いだったらしく、下校後。

「ママちゃん〜、うそつき〜、うそつき〜」と、絶妙に人の神経を逆撫でるメロディラインで囃し立てるものだから、ママちゃんに般若の形相で「キッ」と叱られてしまい、水切れの朝顔のごとく、シュンとなっている娘を尻目に。

夜は無駄。

6月もそうだったけど、外気温が夏になってからスタートが顕著に遅い。開店は変わらず19時でも客入りが遅く、今夜は顕著に21時くらいまでゲスト1。
そこからトントンと来客があり、25時終宴。23時からが本番みたいになってきている。

横浜から一泊で来てくれたという夫婦が、無駄および宮小路全体を町として気にってくれて、パンフレット見ながらハシゴしてきたという嬉しい話もあり、町単位でのPR・外交・交易・自治を理想としている、わたしとしては、おそらく時代の風向きがそっちに流れているという実感を改めて。

07.05(土)

今日は若かりし頃から筋金入りの「バンギャ」である妻が「バンギャ活動」に東京へ行くと言うので、娘とふたりで過ごす休日。

「じゃあ俺らも東京行くか」

という軽いノリで、昼前から新宿のキディランドへ。

コジコジのポップアップストアが出ているという情報を信じ、来てみた大都会新宿。なるほど、新宿のキディランドは原宿のよりも広々としており、あらゆるキャラクターグッズが販売している。子連れがキャッキャと楽しめる空間かつ、綺麗でシュッとした店内であった。子連れは我々ともう一組くらいしか見かけず、外国人観光客だらけではあったけれど。

コジコジのグッズをプレゼントも含めてたくさん買って、滞在時間1時間の新宿。

どうしますか。この激烈に暑い東京でそろそろお腹も空いたし、お昼でもしますか。どこかで休みますか、と問いかけたのだが

「いや、うち、もう帰りたいな」

というので、そのままロマンスカーに乗り、一路帰宅。

空腹はロマンスカーのなかでふたりで「チップスター・コンソメ味」を分け合い、凌いだ。

「東京は暑いし、あとなんか臭いね、ずっと息、止めてた」

という、捨て台詞。

BRAKE ON THROUGH TO THE OTHERSIDE.

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ASH ON THE ROADSIDE

2025.08.24-08.31 08.24(日) また真夏がぶり返してきていて、なんにもする気にならない。暑い。夏休みに入ってからというものの、毎日のように同じメンツで生活しているのでまあぶっちゃけた話、新鮮味、フレッシュさというのは少なくなってきていて、残り一週間となったこの長期休みも、ウィニングラン、クールダウン、流し、みたいな感じになっている。そんな日曜日の夕飯は自宅でシウマイ。 餃子ではなく、シウマイが食べたいという、渋めのチョイスをされた娘に同意し、皮を買ってシウマイにする。調理時、妻が異様に苛ついており、娘とふたりで気を使いながら、地雷に触れないように、最善の距離感を保って、夕飯の準備を見守る。シウマイと春雨サラダを美味しくいただく。キッチンペーパーの在庫が切れていたので、自転車で買いに行く。風呂を入れて順次入浴。娘は明日、先日、我が家に遊びに来た親友宅へ、今度はゲストとして遊びに行く日なので、始終オソワソワされていたけれど、就寝。 ベランダにてラジオを聴きながら、パイプを一服。 あんまり動いていないせいか、けっこう深めに夕方寝てしまったせいか、眠くならなかっ

あなたと食べたいペニーレイン

2025.08.17-08.23 08.17(日) 夜 仲良くしている珈琲屋夫婦とKにて夕食。 日曜夜ということもあってか貸し切り状態。だらだらと飲み食いして、わたしの地元でもある北海道料理を中心に舌で鼓を打った。この店のかぼちゃコロッケは、中学生のころに、母が弁当に詰めてくれたかぼちゃコロッケの味に、激しく似ており、ノスタルジックで旨い。ちょっと中山峠とか石北峠とか、ああいうところの頂上にあるお土産屋さんの「あげいも」の感じもする。その他、鮭のハラミ焼き、酒飲みが大好きなイカのルイベなどをいただく。 前回訪れたのはちょうど一年くらい前だったのだが、娘込みでの家族三人では食べたいものをたくさん頼めず(量的に)、今回は、わりとよく食べる夫婦を随伴したおかげで、ヴァリエーション豊かに食事ができた。 気づくと、21時半を過ぎており、娘が大人たちの話に飽き、目をこすっていたので、急いで帰宅、彼女は速攻で眠りについた。 夜中、いい感じに酒の回った妻による、(彼女の専門とする)2000年代ヴィジュアル系バンドの生態系についての熱い講義が、突然始まり、結果、わたしたち夫婦は2時くらい

迫りくる大鰻

2025.08.10-08.16 08.10(日) カリソメの独身貴族、二日目。 「惰眠を貪る」という言葉は、贅沢の極みだと思っているのだが、まさしく惰眠を、心身の回復に必要十分な量以上のダレた眠りを、昼前まで貪っていた。贅沢を味わっている証拠に、涎も出ていた。外は雨。というかミニ嵐みたいな状態で、珈琲を淹れてレコードとかラジオとかを聴いている。埼玉は晴れている、と妻からのメッセージで知る。娘がブランコに乗っている写真が添えられている。 ようやく15時ぐらいに空腹であることに気づき、いや、気づいてから二時間くらいは経過していたけれど、ようやくそろそろ飯食わなきゃ、というエンジンがかかり、Pへ行き、魯肉飯。今日のジェラートは三種類あるよ、と案内されたので、全部。華やかなプルーンが乗っかった豆花と、ポットに一杯のホット・チャイ。 Pを出ると土砂降りが深刻さを増しており、そんなに長い距離ではないのに、家にたどり着く頃には、全身ずぶ濡れになっていた。傘、というのは一体いつから進化していないのだろう。これが最終形態だとは、どうしても思えない。 08.11(月) 夕方。 妻&娘が

包丁+薔薇 = 賽子

2025.08.03-08.09 08.03(日) 昼。 友人のアーティストが展示をやっているので、箱根のNへ。 昨年の展示は別の友人と妻と、平日の昼間に車で行ったのだが、今年は娘も連れて行くので、箱根登山鉄道という、イカした名前の汽車に乗りGO。 というのも、彼女は重度の乗り物酔い、それも車×山道の組み合わせにめっぽう弱く、何度かタクシーで(それも超優良級のドライバーのスムースな走行で)、箱根の山にトライしたことがあるのだが、そのたびに 「嗚呼ああああ、きもちわるいいいいいい、嗚呼嗚呼嗚呼」 という、涙ぐましいお声をあげられる、というか、実際に泣いてしまうことが多々あったので、今回はトレインにて向かう。 標高500メートル近い山の中腹まで、「スイッチ・バック」という聞き慣れない、ターン走法を駆使しながら、目的地まで進む登山鉄道。なにせ名前が良いよね、鉄道なのに登山。登山する鉄道。真夏の緑碧した山の中に、人類が知恵と工夫でゴリゴリに通してきた鉄道、130年間現役で使っている鉄橋、などを味わいながら、度重なるスイッチ・バックの果てに、たどり着いた展示で、わたしはおニュー