あなたと食べたいペニーレイン

2025.08.17-08.23


08.17(日)

仲良くしている珈琲屋夫婦とKにて夕食。

日曜夜ということもあってか貸し切り状態。だらだらと飲み食いして、わたしの地元でもある北海道料理を中心に舌で鼓を打った。この店のかぼちゃコロッケは、中学生のころに、母が弁当に詰めてくれたかぼちゃコロッケの味に、激しく似ており、ノスタルジックで旨い。ちょっと中山峠とか石北峠とか、ああいうところの頂上にあるお土産屋さんの「あげいも」の感じもする。その他、鮭のハラミ焼き、酒飲みが大好きなイカのルイベなどをいただく。

前回訪れたのはちょうど一年くらい前だったのだが、娘込みでの家族三人では食べたいものをたくさん頼めず(量的に)、今回は、わりとよく食べる夫婦を随伴したおかげで、ヴァリエーション豊かに食事ができた。

気づくと、21時半を過ぎており、娘が大人たちの話に飽き、目をこすっていたので、急いで帰宅、彼女は速攻で眠りについた。

夜中、いい感じに酒の回った妻による、(彼女の専門とする)2000年代ヴィジュアル系バンドの生態系についての熱い講義が、突然始まり、結果、わたしたち夫婦は2時くらいに就寝。

08.18(月)

夜は月イチの月曜営業。

ミドルエイジ軽音部の活動場所となっている月曜日は、いつものメンバーが集まり、にぎわい。お盆明けということもあって、街全体がひっそりとしており、主にご常連さん達で楽しんだ夜であった。

営業後、腹が減ったので飯を食べようと、Nへ。
普段は箱根の山奥に籠もって絵を描いている友人が、久しぶりに人里へ下山してきていてたので、ハグ。

身細るほどに尽くしたい男と、野良猫のように自由を愛する女(またはその逆)は、うまくいきっこないのだが、足りないものを求め合う男と女のラブゲーム、その醍醐味と不思議さについて、ぬるめに語り合う。熱々の味噌汁を飲みながら。

箱根。芦ノ湖のまわりは小田原と比べると7度くらい気温が低いらしい。

08.19(火)

わたしは、家の誰よりも遅く起きてしまうのだが、誰よりも早く起きるのが、娘。わたしがノソノソと起きて、布団を畳み、寝室へ片付けていると、何やら見慣れない絵が、寝室の窓際で乾かされている。ふと、絵を覗くと、レターサイズのキャンバスに、キリンの親子。仲良く木の上の草を食んでいる。

「これは、傑作。どうしたのですか」

と、作者に聞くと、

「今朝、起きてから描きました。」

クレヨンと水彩を見事に使いこなして、描かれている空は流れるようなブルー。キリンたちは独特の抽象度で描かれており、とても良い。

近日中に「額」を買いに行きましょう、ということを約束。寝起きでキャンバスに絵を描き切るのすごいなと思う。

昼飯は、今週でシーズン終了してしまう海の家にて。波を見ながら焼き飯を食べる。

08.20(水)

とくに理由はないんだけど、寝起きからイライラしがちな日。ホルモンバランス?こういう日は、ひとりでいるに限るのだが、そうも言ってられない夏休み。

イライラしていると、娘が気をつかって

「パパ、イライラしているね」と言ってくるので

幼い子に気をつかわせてしまった、という事実にますますイライラしてきて、負のループ。気分変えの提案に、ジェラートでも食べに行こう!と意気込んだが、店休日。妻が帰宅したので、しばらく部屋に籠もり、レコードを回す。DUB MUSICを無心で聴く。

こういうテンションだったので、夜飯は、ひとりで外食を選択。

Tにて野田鴨のソテーを食べる。激烈に美味で、ちょっとテンションが回復して喋り過ぎた。、ペンネアラビアータでシメる頃には、すっかり今朝からの症状が治っていた。

帰宅後、妻と少し談笑し、ベランダにてパイプ。うまく吸えて、気分良く就寝。極端な右肩上がりの気分で過ごした、1日。

08.21(木)

娘、保育園時代の親友が遊びに来る日。

保育園でも一番仲良くしていた子だけれど、小学校が離れてしまい、しばらく会っていなかった。先日の縁日イベントで再会した折に、母同士、連絡先の交換。出会ってから足掛け4年で、はじめて二人で遊ぶことになった、のが今日。

3日くらい前から、ずっとテンションが高く、ソワソワしていて、こちらとしては接していて、多少うっとおしくもあり、また微笑ましくもあったのだけれど、当日のはしゃぎ方は尋常ではなかった。

というか、親がいなくてもまったく関係なく「二人の世界」が完全に構築されており、勝手によろしくやっているので、管理監督者としては楽。

夕方、先方の母が迎えに来ると、「来週はうちに遊びに来てよ」という話になってお別れ。

別れた直後から、またソワソワし始めている。

08.22(金)

夜は無駄。

オープンからクローズまでカウンターには常に人がいて、出たり入ったりが結構あったし、よく動き、よく喋り、よく笑ったのでよい夜だった。いやー、盛り上がった盛り上がった、と思って閉店後、会計を確認していると、実際にはいつもより来客数も売上も明らかに少なく、狐につままれた感じになった。あれ?幻?いや、待てよと思い直し、開店からのお客さんを思い返して、ひとりずつ確認していくが、きちんと合計と合っている。

こうして文字にすると、どこにもおかしいことはなさそうなのだけれど、こちらの実感としてはめちゃめちゃ不思議なチグハグした感覚で、なんというか、実に夏っぽい思い出になった。盆も終わったが、まだ現世延長しているような、見えない亡霊たちも実は一緒に来店し、盛り上がっていたのかもしれん。

08.23(土)

午後。

箱根湯本でやっている、「芸者バー」イベントへ、家族で行く。

見番という湯本芸者の総合受付案内所のような場所が、通常は夜営業のカフェ・バーになっているのだけど、この日は、座席・芸者を大幅に増設増員して、まあ、お祭りのようなイベントになっている。

ここ何ヶ月かで、湯元芸者のイベントを町の中で企画したり、メキシコ人の観光に芸者会食をアサインしたりと、芸者さん勢に知り合いも増え、家族も見てみたいということもあり、友人も誘って来訪。飲み食いしながら、踊り、座敷遊びを、ひとしきり鑑賞したあとで、芸者8人編成のバンド「婆娑羅(バサラ)」の演奏。これが結構な迫力で、バスドラが和太鼓。リードギターが胡弓。みたいな編成で、全員芸者の格好というか本物の芸者が演奏している。われわれ一同は、一曲目からベースのお姉さんに夢中になり、「ベース、めっちゃうまくない?」とヒソヒソやっていたのだが、最後の曲「残酷な天使のテーゼ」という箱根に縁のある伝統的なナンバーの間奏時に、突如としてステージ前にベースが飛び出てきて、ソロ。チョッパー奏法をノリノリでバチンバチンとこなす様を見て、わたしたちは興奮。おひねりチケットと現ナマを合わせて、すべてベースのお姉さんへ!という有様であった。

楽しかった。さあ、帰りましょうかという段で、「これ、お嬢さん、どうぞ」と、芸者さんから、ピカピカした電飾で光る玩具の指輪をプレゼントされる、娘。ご本人、めちゃめちゃ喜んでおり、圧倒的なホスピタリティに舌を巻くわたしたち。長期投資としての、青田買いだろうか。

帰り道、「BASARA」ってヴィジュアル系のバンドが昔、いたわね、と、妻がつぶやいていた。世界はヴィジュアル系で出来ている。

BRAKE ON THROUGH TO THE OTHERSIDE.

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ASH ON THE ROADSIDE

2025.08.24-08.31 08.24(日) また真夏がぶり返してきていて、なんにもする気にならない。暑い。夏休みに入ってからというものの、毎日のように同じメンツで生活しているのでまあぶっちゃけた話、新鮮味、フレッシュさというのは少なくなってきていて、残り一週間となったこの長期休みも、ウィニングラン、クールダウン、流し、みたいな感じになっている。そんな日曜日の夕飯は自宅でシウマイ。 餃子ではなく、シウマイが食べたいという、渋めのチョイスをされた娘に同意し、皮を買ってシウマイにする。調理時、妻が異様に苛ついており、娘とふたりで気を使いながら、地雷に触れないように、最善の距離感を保って、夕飯の準備を見守る。シウマイと春雨サラダを美味しくいただく。キッチンペーパーの在庫が切れていたので、自転車で買いに行く。風呂を入れて順次入浴。娘は明日、先日、我が家に遊びに来た親友宅へ、今度はゲストとして遊びに行く日なので、始終オソワソワされていたけれど、就寝。 ベランダにてラジオを聴きながら、パイプを一服。 あんまり動いていないせいか、けっこう深めに夕方寝てしまったせいか、眠くならなかっ

迫りくる大鰻

2025.08.10-08.16 08.10(日) カリソメの独身貴族、二日目。 「惰眠を貪る」という言葉は、贅沢の極みだと思っているのだが、まさしく惰眠を、心身の回復に必要十分な量以上のダレた眠りを、昼前まで貪っていた。贅沢を味わっている証拠に、涎も出ていた。外は雨。というかミニ嵐みたいな状態で、珈琲を淹れてレコードとかラジオとかを聴いている。埼玉は晴れている、と妻からのメッセージで知る。娘がブランコに乗っている写真が添えられている。 ようやく15時ぐらいに空腹であることに気づき、いや、気づいてから二時間くらいは経過していたけれど、ようやくそろそろ飯食わなきゃ、というエンジンがかかり、Pへ行き、魯肉飯。今日のジェラートは三種類あるよ、と案内されたので、全部。華やかなプルーンが乗っかった豆花と、ポットに一杯のホット・チャイ。 Pを出ると土砂降りが深刻さを増しており、そんなに長い距離ではないのに、家にたどり着く頃には、全身ずぶ濡れになっていた。傘、というのは一体いつから進化していないのだろう。これが最終形態だとは、どうしても思えない。 08.11(月) 夕方。 妻&娘が

包丁+薔薇 = 賽子

2025.08.03-08.09 08.03(日) 昼。 友人のアーティストが展示をやっているので、箱根のNへ。 昨年の展示は別の友人と妻と、平日の昼間に車で行ったのだが、今年は娘も連れて行くので、箱根登山鉄道という、イカした名前の汽車に乗りGO。 というのも、彼女は重度の乗り物酔い、それも車×山道の組み合わせにめっぽう弱く、何度かタクシーで(それも超優良級のドライバーのスムースな走行で)、箱根の山にトライしたことがあるのだが、そのたびに 「嗚呼ああああ、きもちわるいいいいいい、嗚呼嗚呼嗚呼」 という、涙ぐましいお声をあげられる、というか、実際に泣いてしまうことが多々あったので、今回はトレインにて向かう。 標高500メートル近い山の中腹まで、「スイッチ・バック」という聞き慣れない、ターン走法を駆使しながら、目的地まで進む登山鉄道。なにせ名前が良いよね、鉄道なのに登山。登山する鉄道。真夏の緑碧した山の中に、人類が知恵と工夫でゴリゴリに通してきた鉄道、130年間現役で使っている鉄橋、などを味わいながら、度重なるスイッチ・バックの果てに、たどり着いた展示で、わたしはおニュー

ポルカ オブ ザ バタフライ

2025.07.27-08.02 07.27(日) 自宅に朝から大工さんがやってきて、ベランダに縁側を作る作業。 その間ずっとソファにゴロゴロと座り、iPadで最近お気に入りの子供向けドラマ、昔で言うポワトリン的な、勧善懲悪、女子グループが主人公のやつ、を延々と観ている娘。なぜかこのドラマは女子同士の秘密であり、ママとふたりでこそこそ言いながら観ている。わたしが近づくと「きゃあああ、みないでええ」と楽しげに騒ぎ立てるので、おれはこの家では完全に男子である。まあどこでも大体、男子なんだけど。 夕方、大方の作業を終えて、大工さんが帰る。激烈に暑い中、そして激しい腰痛を発症している中、ありがとうございました。 晩飯は貰い物の干物。旨い。 07.28(月) 七五三のお写真撮影当日。 娘は自分で選んだ和服とドレスの2パターンの衣装を着付けてもらい、まるでモデルのような出で立ち・振る舞いで、カメラマンによる数々のポージング指示に答えながら、キャッキャッと写真を撮られていた。4年前のときは、着付けや髪結、メイキャップなどの間も、退屈を凌げるようにアンパンマンのDVDなどを観させられ