虹が溶けていく
2025.11.30-12.6
11.30(日)
妻が昼から推しのヴィジュアル系バンドKのライブに行くので、午後から娘とダラダラ過ごす。2日間の「宮小路バル」をやりきって、無事に大盛況で終わって、その安堵感もあるのだが、疲れてはいるけれど、ずっと眠るというわけでもなく、というのも、明日は無駄で落語会、週末は年に一度の「無駄歌謡祭」と、あと残り2イベントを残しており、休むに休めないというか、なんか、そういうので、ダラダラしつつ、娘とドラえもんのカードゲームなどをやる。日本語がある程度読めるようになっており、ルールブックを読み、初体験のわたしに対してレクチャーをしながら、ゲームを進める。負ける。
よる。静岡方面から、バチバチにアーティスティックなお二方をお迎えして、シセロシスコとわたしと娘と一緒にTで会食。途中からライブ帰りの妻も合流して、鴨肉を食べる。
12.1(月)
ひる。ステージ上に高座を作り、落語会の準備。
よる。今年二回目の落語会は、前回同様、超少数で贅沢な距離感でライブの落語が聞けるスタイル。十二月の初っ端から、「芝浜」を肌で感じることができるのは、個人的にも素晴らしき体験であった。噺家さんもお客さんも、みんな満足して終了。
落語は、大きな公式っぽいホールで聴くのも良いのだけど、わたしは根っからひねくれているのか、もっとアンダーグラウンドな演芸だと思っていて、こういう場末のスナックで完全秘密倶楽部みたいな雰囲気の中、ヒソヒソとやるのが好きで、そのスタンスに乗っかってくれる噺家や、お客さんがいて、これは成り立つなと確信した二回目であった。次回はもっとヤバい話をオーダーしたい。
12.2(火)
今日は、ハリQ行っとくでしょ、というタイミングなので、二週連続ハリQ。グサグサに串刺しにされて、バチバチに巡り良くなった気がする。
よる。無駄歌謡祭のバンド練習(×2バンド)。わたしには無駄という要塞があるので、簡単な練習だったら店でやればいいのだけど、ちゃんと声を出したりするのは、やはりスタジオに入るに如くはなし。実にひさしぶりにスタジオに入って、音出し。良いものでしたね。前半のバンドは、ベースをはじめて3ヶ月の妻とやるので、娘もちょこちょことついてきて、スタジオの控え室でipadでドラえもんを観ながら待機。その後、ちょこっとスタジオ内に顔を出し、「ママ、良かったよ」と、オノ・ヨーコばりの貫禄。
12.3(水)
ひる。床屋に行く。年末はおそらく床屋混むので、このタイミングで。床屋の店長の娘は長女がちょうど高校一年生で、我が家の娘と10歳くらい違うので、10年後、このような悩みがやってくるのかもしれない、というシミュレーションをしている。髪を切られながら、ヒゲを剃られながら。深夜の(おそらく男との)長電話、勉強合宿という名の無断外泊、など、聞いているだけでまるで我が事のように、身につまされる想いだが、すべて自分自身が通ってきた道。この道はいつか来た道。ああ、そうぢゃ。アカシアの花が咲いている。
12.4(木)
ゆうがた。
娘とピアノ教室へ。途中、今年のサンタロースへの依頼事項である「H書店で見かけたドラえもんの(グッズ付きの)漫画」を、事前確認すべく、ふたりで寄り道。ターゲットの漫画はまだ店内にあったので、取り置きをお願いする。
「サンタクロースには、ここで予約してますから、とパパのほうから連絡しておきます」とお伝えすると
「サンタクロースって、ふだんはやはり赤い服とか着ないんじゃないかな、普通の格好でヒゲも剃って、町に溶け込んでいると思う」
という、独特の解釈を展開する娘。
非常に優秀な工作員、みたいなサンタクロース・イメージ。
12.5(金)
夜は無駄。
十二月は例年、あまり混まない、言ってしまえば暇な回が多い、飲食店らしからぬ無駄。忘年会との相性が悪い店。それに加えて、先週は2日連続で町ごと大盛り上がりだったわけだから、今日は拍車をかけて、暇なのでは?と思って営業開始。こういうときは予想に反して非常に混み合う、みたいなことがなく、予想通りのゆったり営業であった。
それでも、ご新規さんが割合としてたくさん来てくれていて、常連がそれを繋ぐなど、実にスナックらしい展開を見せる夜。明日は今年の集大成である、ライブイベントなので、体力を温存して早めに帰宅。養命酒をひっかけて、寝る。
12.6(土)
年に一度の無駄歌謡祭の日。
お昼に無駄をライブハウス仕様にトランスフォーム。月曜日には高座を作って落語をやっていたのに、週末にはライブハウスになる、カメレオンスナック。
去年もたくさん来客があって、楽しかったけれど、今年はそれ以上にお客さんも演者もたくさん来て、オープンからずっと満員であった。妻の華々しいステージデビューも伴奏することができ、他の演者も最高のパフォーマンスで、もちろん、自分自身の演奏も、気持ちよくやらせてもらった。
今日も、お手伝いに来ていたスーパー助手のH女史が帰り道、「お客さんも出演者も、みんなとても良い笑顔で帰っていくのが印象的で、素晴らしいイベントだった。素敵な夜だった」という所感。
店も、町も、こういうイベントも、回を重ねるごとに良い感じに育ってきている。時間はかかるけど、着実に、根を生やし、成長している。
澄んだ空気が充満している冬の帰り道は、満月とオリオン座が綺麗に見えた。
BRAKE ON THROUGH TO THE OTHERSIDE.