迫りくる大鰻

2025.08.10-08.16


08.10(日)

カリソメの独身貴族、二日目。

「惰眠を貪る」という言葉は、贅沢の極みだと思っているのだが、まさしく惰眠を、心身の回復に必要十分な量以上のダレた眠りを、昼前まで貪っていた。贅沢を味わっている証拠に、涎も出ていた。外は雨。というかミニ嵐みたいな状態で、珈琲を淹れてレコードとかラジオとかを聴いている。埼玉は晴れている、と妻からのメッセージで知る。娘がブランコに乗っている写真が添えられている。

ようやく15時ぐらいに空腹であることに気づき、いや、気づいてから二時間くらいは経過していたけれど、ようやくそろそろ飯食わなきゃ、というエンジンがかかり、Pへ行き、魯肉飯。今日のジェラートは三種類あるよ、と案内されたので、全部。華やかなプルーンが乗っかった豆花と、ポットに一杯のホット・チャイ。

Pを出ると土砂降りが深刻さを増しており、そんなに長い距離ではないのに、家にたどり着く頃には、全身ずぶ濡れになっていた。傘、というのは一体いつから進化していないのだろう。これが最終形態だとは、どうしても思えない。

08.11(月)

夕方。

妻&娘が帰宅。

妻は、大好きな若手俳優が出演している「仮面ライダー」のグッズショップ@東京駅に娘も連れて寄ってきた、ということだったが、彼にまつわるグッズは軒並み売り切れであったという。団扇などを入手したかったらしい。入手できたとして、団扇、我が家のどこに飾る気でいたのだろうか。

夜は家族全員で餃子を包み、焼き、食べるという、我が家初の試み。

娘が嬉々として、そして手早く、皮を広げ、餡を乗せ、少量の水を指につけて、実に器用に皮を閉じていく。わたしも負けずと包む。ヒダにこだわりを持たせながら。3名で取り掛かったので、あっという間に餃子が30個くらいできてしまった。ペロッと食べて満腹。

「ずっとママと一緒だったので、今日はパパとお風呂に入って、パパと寝ます」

との由。承り、お布団をひいて、就寝。

久しぶりの独身2Daysはこうして幕を閉じた。

08.12(火)

久しぶりの独身2Daysが終わってさっそく、妻が仕事で日中出ずっぱりという日。

雨が降っているし、家で娘とだらけながら、お茶を濁そうと企んでいたのだが、今日はお部屋に清掃の人が来る日であり、午後までお部屋をでなければならないDayだったんだデイ。

なんか起きた直後くらいから背中に痛みを感じ、というのも定期的に左背中・肩甲骨下あたりの筋を痛める癖がついており、過去の傾向上、疲れが溜まってくるとギックリ腰ならぬ、ギックリ背中みたいな状態になる。そしてそれが今日っぽい。ますます、だらだら安静に家にいたいのだが、2日間空いただけなのに、妙に娘も「かまってくださいよぉぉ」モードだったので、意を決して、二人で外出。たまたま雨も上がっていた。

駅まで行ったが、なんらセンス・オブ・ワンダーが降りてこず、適当に熱海行きの普通列車に乗車。「熱海、行ったことないわん」と言うので、じゃあ、熱海を散歩でもしますかね。と、ふたりで熱海下車。改札を出て、見渡す限りの、熱海。

熱海、めちゃめちゃ混んでる。

人、人、人で、溢れていて、熱海特有の異常に連続する坂道を、なんの用事も目的もなくぶらつくのだが、これが子連れだとなかなかハードであった。6歳児、街ブラにはまだ早いのかもしれん。

結局、空腹を覚えて二人してイライラしてきたので、ラーメン屋に入り、チャーシューメン大盛りを分けて食べる。超美味。ラーメン屋は11時オープンとのことであったが、我々が食べている間に、あろうことかラーメンの麺の部分が売り切れてしまい、看板を下げて閉店していた。13時前。熱海、めちゃめちゃ混んでいる。

その後も、なんとなくぶらついたが、いかんせん坂が異常に多く、彼女はサンダル履きであって、ちょっと靴ずれみたいになってきていて、空は曇天。気温もちょっとずつ蒸し暑くなってきており、ふたりとも無言の時間が増えてきて。

「かえりましょう」

という提案に二つ返事でOKをもらい、また坂を登って熱海駅から小田原へ。

「やっぱりおだわらよねええ」

と、ふたりで手を取り合い、ゴーホーム。

夜はママと合流し、Uにて串カツ、彼女はマグロ御膳を食べた。

08.13(水)

背中の痛みで昨夜は寝返りもしんどかったので、久しぶりに鍼治療へ行ってきた午前中。やはり疲れが、かなり溜まっているという身体の状態であったが、ゴッドハンドのパワーにより、かなり回復。鍼をやっている間は、傷ついたサイヤ人が入る「回復ポッド」の中に入っているようなイメージを全身に感じている。「ボコボコボコ」という音を立て、身体の中を気血が蠢いているような、錯覚。

お昼。

Sにて久しぶりに麻婆豆腐。娘は叉焼炒飯。2日連続で中華を食べている。いや、月曜夜も餃子だったので、3日連続で中華を食べている。みんなで食べる素敵なチャイニーズ・フード。

夕方、ラジオを二本収録して帰宅。

08.14(木)

動物園に行く。

伊豆稲取というオールド・ジャパニーズ・フルサトを感じる駅まで、踊り子号という素敵で不埒で、どこか少し不義理な感じのするネーミングの電車に乗って、娘と二人、スモール・トリップ。山の上まで少しバスで行き、まあまあの山道だったので、途中ちょっと酔いそうな顔していたけれど、ギリギリ保って、到着した動物園。

最高であった。

動物園、というよりは、どちらかというとサファリパークに近い構造で、一般的な動物園で見られるように、檻で囲われた動物たちが、所在なさげに始終ぼんやりしている、みたいなことがなく、草食獣たちにいたっては、半放牧のような形でそのへんを実に活発にウロウロしている。

キリンは手すりの上から顔を伸ばし、わたしたちが300円で購入した菜っ葉の束を異常に長い下で巻き取り、ネロンッて感じで食べてくれる。娘は及び腰ながらもパパと一緒なら、ということで果敢にチャレンジし、キリンの餌やり、ワオキツネザルとの握手、ミーアキャットとの握手など、動物たちとコミュニケーションしていた。

突然、道すがらにいた係員のお兄さんが

「やぁあああああ!とおおおおう!」

という寄声を発したかと思うと、牛や羊の先祖といわれる角の生えた四足獣たちが、群れとなり、お兄さんのもとへ駆け寄る。彼らの餌である干し草をくれるというので、お兄さんの声ひとつで、群れが四足で駆け寄ってくるのだ。これがなかなかの迫力で、それも何の前触れもなく突然始まったので、娘は「すごおおおおい」と興奮していた。Like A Cowboy。

そして、この園の目玉は、ホワイトタイガー。四聖獣の一角、いわゆる「白虎」である。わたしは幼少期から四聖獣が好きで「青龍・白虎・朱雀・玄武…」という忍術的な呪文を唱えるのが一時期、日課だったのだが、本日、生まれて初めてナマの白虎を観ることができた。

当然のように娘も初めての体験で、大興奮。これも檻ではなく、比較的広い野っ原で自由にしている奴らを、ガラスケース越しのレストランでメシを食いながら見られるという仕掛けになっている。我々がトラを観ているのか、トラが我々を観ているのか、という哲学的な問いが浮かびそうなパノプティコンっぽい建築。そして彼女はあろうことか、その白虎にも生肉をあげる体験をしていた。貴重。

他にもたくさん、動物がいて、実に楽しかったので、今度はママも連れてこようと固く誓い合い、帰宅。

家に帰ってからも興奮冷めやらない感じだったが、風呂に入り、布団に行くと、さすがに速攻眠りについた。

おつかれさま。

08.15(金)

今年もあと4ヶ月ということで、すでに12月までの店・町(あるいは双方)、家族のイベントが決まってきていて、4ヶ月間ずっと師走かな?というスケジュールが垣間見えている。昨日は一日中、パパと一緒にいたので、今日は一日中ママと一緒にいる、娘さん。

夜は無駄。

20時半くらいまで、カウンターにオジサンばっかが集って、それはそれで楽しかったのだが、そこから突然、あれよあれよと入店があり(女性も)、満員御礼。

この場所で店をはじめなければ会うことも繋がることもなかったモノたちが、予想できない化学反応を起こし合っている。バタフライ・エフェクト。そのステージに自分自身も巻き込まれて参加したり、参加しなくてもかぶりつきの席で観ていられるというのが、この生活のDAIGO味。

08.16(土)

昼。

最近、仲良くなった友人とその奥方がやっているカレーとラーメンの店、Hへ。

本場インドのインドカレーといわゆるJ系のラーメンということで、その両方とも苦手なわたし、ならびに妻は「意を決して」、お店に伺ったのだが、こういうのを食わず嫌いというのであろうか、スパイスの調合加減、極太麺の噛み心地、油の加減、その全てが調和しており、ぜったい多いだろうなと思ったのに、箸が止まらなかった。妻も同じようで夢中で食べているし、なんなら娘すら「このチュルチュル、美味しいね」と言って、わたしが分け与えた、まぜそばを食している。目から鱗、舌にピアス。最高でした。

13時に昼飯を終えたが、結局寝るまで腹が減らず、我々夫婦は、この日、1日1食であった。娘は冷やし茶漬けを夜ご飯に食べていた。

夏休みも、あと2週間。

BRAKE ON THROUGH TO THE OTHERSIDE.

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眠らない教皇

2025.12.7-12.13 12.7(日) 宮小路バル、無駄歌謡祭、と大きめのイベントをすべて終えて、さぞや疲労コンバインだと思っていたのに、わりと心身が元気。家族でA珈琲店にてブランチをとり、さあ、今日はどうしましょうね。ということに。 このHP/MPならいけるのでは?ということで、シセロシスコの個展最終日に赴くため、東京、小伝馬町へ。 途中、1年分の生活費によって溜まったクレジットカードポイントを消費するため、日本橋の三越という、百貨店中の百貨店。もはや絶滅危惧種と言っても過言ではない、百貨店という建物で、娘と迷子ごっこを楽しみながら、食品売り場がある地下で、高い肉などを郵送してもらう段取り。肉屋では明らかな東京の中央区のマダムが「ぁたくし」という一人称を使って、わたしたちよりも高価な、はるかに高価な、サシの入った肉を注文している。すげえ量。 個展に手土産でも、ということで、お菓子売り場をウロウロしていると、かわいいマカロンが売られていて、色とりどり。娘とこれはいいね、なんて言って、手土産用に買おうと思ったら、14個入り7000円。嘘だろ。向かいには十勝おはぎのサザ

虹が溶けていく

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地雷原のモグラ

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