蒙昧フローラ

2025.09.28-10.04


09.28(日)

想像の3倍くらいダラダラして過ごす。娘もそういう気分だったのか、そればかりは、わたしにもわからないのだが、終始パジャマでiPadを観ながらソファでだらけている。ぼくも、起きたり寝たり、布団を上げて、また少し本を読んで、そのへんのドーナツを食べて、また布団を敷いて寝たりしていた。妻だけが外出用の服に着替えて、夕飯の買い出しや昼食はどうするのか、と気を揉んでいるのだが、今日ばかりはThe Damnedばりにニートを極めているわたしと娘は、気のない素振りというか、YESともNOとも言えないみたいな、真剣に善処したいとは思っている的な、政治家の答弁みたいなことを二人して繰り返し、相変わらずソファでだらけていると、いいかげん、妻が激おこ。ひとりランチへ出かけ、本日は別行動となる。

わたしたちは、前日に買ってあった「バックギャモン」を出してきて、娘とルールを確認しながら熱中。その後、なんだかんだ腹が減ったので、ふたりで、Sへ。大人びたサンドウィッチとアイスを食べる。

09.29(月)

9月もラスト2Days。

「バッチリ準備しました」と言いながら、勇んで登校していく娘を見送り、「燃せるゴミ」を出して、リビングへ戻り、堂々と忘れられているハンカチを発見するなどして、午前中を過ごす。

涼しんだか、暑いんだか、風が強いんだか、さっぱりわからない外の天気で、ランチ迷子。結局、地下喫茶Jにてピザトーストとレモンスカッシュを食べる。向かいの席で、婆さん二人が横並びに座ってパフェーを食べ終えており、

「ここはわたしが」

「よくない、そういうの、よくない」

「いいのよ、ここは、出させて」

「こないだだって…」

「ここは、ほんと、ね?気持ちよく、出させてよ」

と、伝統的なやり取り。

その後、Aで珈琲とバナナケーキ。カウンターの端で、爺さんがひとりで、カウンターの店主夫婦に向けて延々と喋っている。立て板に水、相手のリアクションをまったく意図しない見事なひとり喋りを繰り出しており、ポッドキャストでも配信しているのかと思った。

娘下校後、そそくさと宿題を終わらせ、「バックギャモン」。
3戦やって、見事に2敗。

ルールとコツの飲み込みが早すぎる。

09.30(火)

そろそろ鍼でも打ちに行くか、と、気持ちの良い天気・気候なので歩いて赴くが、臨時定休日。仕方無しにその足で引き返し、自転車に乗って、Pにて豚肉のサルサソースを食べる。行きつけの和菓子屋で季節ものの「かぼちゃまんじゅう」が売られていたので、大量に買い込み、帰宅。下校後の娘のおやつとしても大好評であった。

妻が午後の仕事に出たので、部屋にいると、娘がまたイライラしている。どうしたのかと尋ねても、机の上が汚くて勉強する気ならない、だとか、綺麗にしようと思ったら色々(机の上の小物)が落ちて、それで、とてもイライラする。とか。しまいに、漢字の練習用にカンペ的に作っていたオリジナルの早見表がなくなった。机の上に置いてあったのに。と、とにかく突然イライラしているので、こちらもイライラが伝染し、ふたりでイライラしながら、とりあえず、その「漢字練習用のカンペ」を探す。実物の想像がつかないものを探す、というのはなかなか骨が折れるのだけれど、一昨日まで机にあったという証言を信じ、近くを捜索。妻のPC前に置いてある、妻の仕事関係のメモ書きがされたプリントを見つける。裏返すと、独特の記号と漢字が散りばめられたコードが満載。まさしくこれこそが、彼女が言っていた「漢字の練習用のやつ」であった。

こんなところに、こんな難解な、エニグマ暗号表みたいのが置かれていても、ママもメモ書きにしちゃうから、ちゃんとしまっておきなよ、と言うが、しかしママもママよね、ひとのものにメモ書きしないでほしいよねって、帰ってきたら自分の口でちゃんと言ったほうがいいよ。うん、わかった。というところで、落としどころ。

夜。傷だらけの天使#4と、エル・トポを鑑賞。

10.01(水)

今日から10月。気温も湿度も落ち着いて、完全に気持ちが良い。午後、ラジオ収録。共演者が来なかったので一本録りの後、夕飯は心の実家Oにて家族で食事。鯵のなめろう、かき揚げ、焼きうどん、などを食す。娘がまだベビーカーに乗り、3歳になった位の頃から来ているので、ことさら、彼女の成長具合に敏感というか、いわゆる「こんなに大きくなって…」というのが強い、店。ママも高齢なので、これからも元気で長く続けてほしい気持ち。この世に終わりががないことは無いのに、どこか時空が歪んでいて、永遠に続いてくれるような、そんな気持ちにさせる、店。

一旦帰宅後、妻は夜のアルバイトへ。わたしと娘はバックギャモンを一戦やってから、就寝。昨夜に引き続き、映画でも観ようかと思っていたが、23時頃に急激に眠気が来て爆睡となった。

10.02(木)

昼。ジムで運動。

幼い頃から、車とか野球と格闘技とか、そういう男子性の強い趣味にハマらなくて、かといって、お洋服とかお人形とかアイドルとか、女子性の強い趣味にもハマらず、時代劇と古いロックや歌謡曲が好きだったので、老人性が強い子どもだったのかもしれない。それはそうと、そういう経緯から格闘技というのをまともに観たことがなかったのだけれど、ひょんなことでMMA(総合格闘技)のカリスマと呼ばれる人からマンツーマンでパーソナルトレーニングを受けはじめて、1年を超えていた。

隔週で一時間、ふだんの暮らしでは絶対に使用しない筋肉、筋肉と骨と髄と筋をまたぎ、つなぐ、数多の細胞や筋組織をフルに動かし、40年近く未使用であった脳と身体の細かな連絡網を整備していくようなトレーニングは、身体だけでなく、脳、というか総合的に人体を動かしていく感じがしていてとても合っていた。そして1年くらい続けていると、極度の運動音痴であるわたしでも、少しずつ、身体が反応できるようになってくるのも快。

今日は、週頭に偶然SNSで古い格闘技の試合(韓国の2m超えの大男とサイボーグという通り名を持つ、おそらく名前の雰囲気から東欧人っぽいファイターとの戦い)を見かけた話から、その試合で、サイボーグが大男を倒す決まり技となっていた、「膝の外側の筋を狙った前蹴り」を習う。

ふとスマホで観た試合の技を、その道の有識者(かつ同時代に活躍していたトップリーダー)から直接教えてもらえる。

贅沢とは何も大金を消費することではなく、まさしく、こういった経験のことをいう。

10.03(金)

昼。

5月くらいに訪れた、山の芋専門店、Tにてランチ。夏場は山に芋がないので、メニューが異なり、この秋を待っていた。前回は行けなかった妻を同伴。ピザ屋に行ってピザを食べるか、とろろを食べるかで迷ったが、ふたりとも、身体の声を聞いた結果、満場一致でとろろに。プラシーボ甚だしいとは思うが、すすった瞬間から、内蔵が喜ぶ感じ。栽培ではない、天然のトロロご飯、本日も絶品であった。冬になればなるほど旨くなるというのが店主の弁。夜の時間に、数名募って貸し切りで行きたい。

夜は無駄。

前週の47人(討ち入り)が幻のごとき、ゆったりした営業。町にもあまり人が出ていなかったように思えた。細かすぎて伝わらないモノマネ(ひとりスネークマンショー)からはじまり、ガンダム、ルースターズ、と各自の「偏愛」を尊重しバックアップしている当店としては、「偏愛」にまみれた良い夜でもあった。

10.04(土)

雨模様の土曜日。

雨だろうと曇りだろうと、すっかり涼しくなっていて、本当に良い。こればっかり、毎日感じている。近くの野外でビアフェスと骨董市とおでん祭りがやっている。ミクスチャーシティおだわら。

昼前後。

娘が「オセロ、やりましょう。オセロ」と、道端のポケモントレーナー(ガールスカウト)ばりに好戦的な眼差しで、パパ`s Roomに来る。「いいでしょう。」と、わたし。聞けば、iPadでのオセロゲーム(のCPU戦)に連勝しており、レヴェル3くらいまでになっているとのことで、顔中に自信がみなぎっていた。

オセロは、1年くらい前に何回かやったけれど、まだまだ勝負にならず、負けると泣いてしまうので、ほとんど手をつけていなかったのだった。

ところが。

さすが、自ら喧嘩をふっかけてきたことはあり、ちょっと「手心を加える」という態度では、こちらが危うい場面も出てくるくらい上達をしており、大人がゲームの対戦相手として楽しめるプレイヤーに育っていた。

角を3つとってしまい、完勝。

泣くかな?と思ったが、ぐっとこらえ、速攻でタブレットを持ってきて、5分くらいでCPU相手に圧勝。WINNER!の文字が踊る画面を見せてきた。

夕方、各店舗が店じまいを始めていた骨董市で、(アンティークが服着て歩いているような)友人夫婦に遭遇。見立ててもらって、着物のセットアップ(きもの、帯、羽織)を買う。

BRAKE ON THROUGH TO THE OTHERSIDE.

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マシュー、泣かないで

2025.11.2-11.8 11.2(日) 昼。 S装飾の絵画およびアクセサリーの展示が行われている個展のため、三島へ家族で行く。三島は電車でちょうど1時間しないくらいで着くし、町も水が多く流れている清涼感のあるタウンで、とても気に入っている。小田原の有象無象に疲れたときかつ、黄泉の国「伊豆」に籠もるまでもないとき、など、非常に優れた避難先となっている。 源兵衛川、という清らかな小川が流れているほとりの、レストランDとその上にあるキャフェーWにて、個展が開催されており、娘にデカいハートのピンバッジ、わたし、というか無駄用に絵画を一点購入。 源兵衛川は飛び石が敷き詰められていて、娘はそこをヒヤヒヤしながらキャッキャ言って飛び跳ねていた。清らかなタイム。 11.3(月) 大学生時代の先輩×2が、去年に引き続き、この時期に遊びに来るので、無駄を臨時営業。というか、来年からは文化の日は営業日とすることにした。彼らはわたしが北海道のはずれから横浜に出てきたとき、はじめて会ったカリスマであり、彼らの背中を追っかけてここまでやってきたといっても過言ではないのだが、あっという間に20

戦場はピーナッツで埋められた

2025.10.26-11.1 10.26(日) 16時までダラダラと過ごす。というか、さすがに前日までで疲れすぎた。バタンキュー。ヘアもセットせず、お忍びモードの格好で家のまわりをウロウロする。夕日が沈みかけている。 夜、お家でふたたびダラダラとしていると、娘が来週、学校で遠足的な行事があるらしく、その栞を見せてきた。 表紙に一発、「もくてき」という欄がある。遠足に目的もクソもあるかと、わたしなんかは思ってしまうのだが、彼女はそこに堂々としたひらがなで 「たのしみたい」 と書いてあった。 「たのしむ」でも「がんばる」でもなく、「たのしみたい」 こう、自分がそこにいるのだけれど、どこか一歩引いて、自分の行動それ自体を俯瞰しているような表現。「たのしむぞー!」じゃなく、「たのしみたい」。(できることなら…)みたいなニュアンスに、たまらずグッと来てしまった。親馬鹿ではあるのだけれど、この子のこういう所は、本当にわたしの子だろうかと思うレベルで、高貴な感じがする。とても風情があって良い。 10.27(月)

デリシャス★ゴージャス

2025.10.19-10.25 10.19(日) 20年間といえば、赤子が成人するまでの年月であり、自分の人生においての体感としても、それ相応の時間(ヴォリューム的な)だと思うのだけど、20年前に横浜の外れにある大学で知り合った友人夫婦と、未だに親しく付き合いがあり、今日は、家族で来訪。家族での小田原来訪も、すでに10回を超える。 わたしが19歳、彼女が18歳のときに出会ってから、その一年後に将来の旦那となる後輩が入学しており、バンドをやったり恋愛したり酒を呑んだり酒に呑まれたりした、いわゆる「青春」がそこにあった。 その後、わたしが暗黒の20代を過ごしている間に、なんの因果か、ふたりは結ばれ、わたしも紆余曲折ありながら、今の妻と出会い結婚し、娘が生まれたのが同じ年。0歳の頃から、ときたま一緒に遊ばせ、毎年交流を重ねてきたので、娘同士も非常に仲が良い。 我が家は親戚づきあいがあまりなく、娘は従兄弟的な人もいないのだけれど、向こうの娘がそういう立場で、「東京に住んでいるHちゃん」「小田原に住んでいるRちゃん」という、互いに良い距離感の友人みたいになっている。 夕飯にイナダ

サイボーグは古傷を隠す

2025.10.12-10.19 10.12(日) 夜。 先月、無駄で開催してくれたビッグなラヂオDJ3名によるDJイベント「JOJOJO」が、今月は東京・新橋で開催されるということで、遊びに行く。 新橋・銀座エリアというのは、わたしが20代の9割以上を「溶かした」思い出の魔都であり、お店へ行く途中、路地の、通りの、交差点の、至るところに断片化した記憶が染み付いている。 会うのは先月ぶりなのだが、DJ陣には「行きます!」とも言ってなかったので、3人共、突然の訪問にとても喜んでくれた。この日はDJの一人であるジョージ・ウィリアムズがバースデイ当日ということもあり、誕生日祝の会も兼ねていた。 相変わらず、選曲も喋りもお客のノリも最高の空間で、ピースフルかつハートウォーミングなイベントで、まるっと3時間くらい盛り上がったのだが、本日、ジョージ・ウィリアムズのラストナンバーというタイミングで、なんとわたしのアナログレコードがプレイされる。わたしが、2月にリリースした曲、そのイントロ、ギター・リフがフロアに響き渡る。 それだけでも大興奮だったのだけれど、そのまま、